1/11ページ目 目覚めというものは何時だって唐突で、 意図して起こすわけでもなく瞬間を留めることもできない、 実は曖昧だが確実に発生している事象である。 「私は」 足、手、眼、髪、 感覚のあろうはずもないものまで、 全てから感じるそれは冷たさ。 ひっそりと静まり返った静寂に、 ひたひたと忍び寄る気配。 「待って」 まだ、待って。 だって、私はまだ。 「目覚めたくない」 この夢から。 甘美な世界。 喪うことが、 恐ろしくて。 ひたすらに乞うた。ただ乞うた。 しかし目覚めがそうであるよう、伴ってそれもまた刹那。 乞うても乞うても、永遠の時を過ごすかのように それは届くことなく繰り返されるまま。 ねえ、お願いだから。 私はまだ此処に居たいんだ。 お願いだから―― そして彼女は暗い瞳を開いた。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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